【目次】
シリーズJAZZジャイアンツ 53 ゲイリー・バートン
今回はヴァイブラフォン奏者のゲイリー・バートンの特集でした。
ゲイリーは1943年1月23日アメリカ中西部のインディアナ州アンダーソン出身で現在80歳。2017年74歳の時に音楽活動を引退しています。幼い頃から並外れた音感を持っていたそうで、6歳になった頃、両親がマリンバとヴァイブラフォンを習わせ、すぐにその才能は開花します。とても音楽好きの両親だったようで、その頃から14歳まで数年間、両親や兄妹、姉妹でザ・バートン・ファミリー・バンドというのを組んで毎週末演奏活動をしていたそうです。13歳の頃、ベニー・グッドマンのレコードと出会い、そこにいたヴァイブラフォン奏者:ライオネル・ハンプトンの演奏を聴いてジャズに目覚めます。同じ頃、エリントンのライブを聴いたりして、どんどんジャズにハマっていきます。1959年16歳の夏にスタン・ケントンのサマーキャンプに参加し、ジャズで生きていく決意をします。1960年高校を卒業する直前、ナッシュビルのカントリー系の人脈の中でキャリアをスタートします。この時、ジャムセッションで出会ったサックス奏者:ブーツ・ランドルフの紹介でカントリー系のギタリスト:ハンク・ガーランドがいた、ナッシュビル・オールスターズ名義で行ったレコーディングに参加したのが最初のレコーディングになります。さらに、そのギタリスト:ハンク・ガーランドがジャズに挑戦したアルバム『Jazz Winds from a New Direction』の録音に参加します。
Gary Burton「You Stepped Out of a Dream」
カントリー界の超大物ギタリスト:チェット・アトキンスにゲイリー・バートンは気に入られ、チェット・アトキンスのお膳立てでRCAと契約することになります。契約の中にバークリー音楽院への進学を手助けする内容も盛り込まれていたそうです。1961年にRCAで初リーダー作『New Vibe Man in Town』を録音します。まだ18歳の頃です。メンバーは、ゲイリー・バートンのヴァイブラフォン、ジーン・チェリコのベース、ジョー・モレロのドラムス。
Gary Burton「General Mojo's Well Laid Plan」
ソロをまとめたアルバム『Alone at Last』。LPの時代には、A面に1971年6月のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの初の完全ヴァイブラフォン・ソロの演奏が3曲収められ、B面には1971年9月にニューヨークのスタジオで録音されたヴァイブラフォンとピアノ、エレクトリックピアノ、オルガンなど曲によってオーバーダビングを変えて録音されています。
1971年ゲイリー・バートンは、バークリー音楽院で教職を開始します。『Alone at Last』の成功でヨーロッパからのオファーがより多く入るようになります。 1972年オリンピックが行われたミュンヘンで大規模なフェスティバルが行われ、その時チック・コリアとデュオの機会が訪れます。
Gary Burton & Chick Corea「Senor Mouse」
1972年11月チック・コリアとオスロでデュオの録音をします。それが名盤『Crystal Silence』。
Gary Burton Quintet「Dreams So Real」
ゲイリー・バートンはバークリー音楽院で教鞭をとって、新たな才能をどんどん発掘していきます。当時18歳の若者パット・メセニーにバークリー音楽院に講師として来ないかと声をかけたそうです。1975年12月にミック・グッドリックとパット・メセニーのツー・ギターにベースのスティーヴ・スワロウ、ボブ・モーゼズのドラムスを加えて、カーラ・ブレイの曲をフィーチャーした2作目のプロジェクト『Dreams So Real』を録音します。
Gary Burton Quintet「Real Life Hits」
1983年今まで自分のバンドにピアニストを入れようと思ったことも一度もなかったというゲイリー・バートンが、当時バークリーの学生だった小曽根真の才能に触れ、1984年自らのバンドにも入れて活動するようになります。そしてECMでアルバム『Real Life Hits』を録音します。メンバーは、ゲイリー・バートンのヴァイブラフォン、小曽根真のピアノ、スティーヴ・スワロウのベース、マイク・ハイマンのドラムス。
小曽根真さんは『ゲイリー・バートン自伝』のあとがきに「不器用なスーパーマン」という感動的な文章を寄せているそうです。また、この本でゲイリー・バートンは、ゲイであることをカミングアウトしているそうです。
Gary Burton, Chick Corea, Pat Metheny, Roy Haynes, Dave Holland「Soon」
1997年にコンコードでこれまで共演してきたオールスター・メンバーを中心にアルバム『Like Minds』を録音します。ゲイリー・バートンのヴァイブラフォン、チック・コリアのピアノ、パット・メセニーのギター、デイヴ・ホランドのベース、ロイ・ヘインズのドラムス。
Gary Burton Quintet「Gorgeous」
ゲイリー・バートンは2003年バークリーを去った後、新たな道を模索していた時に、たまたまテレビで見ていたグラミー賞の授賞式の中で音楽教育促進活動が紹介されていた時に目に入った(耳に入った)ギタリスト:ジュリアン・ラージとの共演。ジュリアンは当時10代の少年だったそうです。バートンはジュリアンのギターを10秒聴いてその才能に驚愕して、すぐにグラミー賞の事務局にコンタクトして、ジュリアンに連絡して、2003年の秋に録音を実現したそうです。メンバーは、小曽根真のピアノ、ジェームス・ジナスのベース、クラレンス・ペンのドラムス、ジュリアン・ラージのギター、ゲイリー・バートンのヴァイブラフォン。
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