エキゾチッククルーズ~世界のギター
今回のテーマは「世界のギター」。ハワイアンやブラジル音楽、砂漠のブルーズ、サーフギターなど世界各地の様々なスタイルのギターを使った音楽が紹介されました。
5月30日
Maya Youssef「An Invitation To Daydream」
シリア出身で現在はロンドンを拠点に活動するマヤ・ユセフの新作『Finding Home』より。彼女は中東の琴にあたる楽器カーヌーンの奏者です。アラブ古典音楽を演奏してきた彼女ですが、新作では多文化共生都市であるロンドンで出会ったクラシックやジャズの演奏家たちと一緒に自由に音楽を創作しています。シリア内戦によって故郷を失った彼女にとって音楽を通じて新しいホームを探すような行為です。
Leonard Kwan「Silver Threads Among The Gold」
ハワイアンのギター。開放弦で和音を鳴らせるオープンチューニングを施したスラックキーギター。伝説のスラックキーギター奏者:レオナード・クワンによる、ハワイ音楽史上初めての全曲スラックキーギターによるインストゥルメンタル・アルバム。1960年作品『Slack Key』より。
5月31日
Lalalar「Isyanlar」
トルコのエレクトロ・アナドル・ロックバンド:ラララールのファーストアルバム『Bi Cinnete Bakar』。
Gilad Hekselman「Long Way From Home(feat. Eric Harland)」
中東のジャズ大国イスラエルの人気ギタリスト:ギラッド・ヘクセルマン。コロナ禍に友人のミュージシャンやプロデューサーたちをリモートで巻き込んで、これまでの作曲とギター演奏から一歩進んで、ミックス、プロデュースに至るまで自身で行った最新アルバム『Far Star』より。
古典音楽A to Z
ブラジルのギター音楽が取り上げられました。
ブラジルにギターが持ち込まれたのは19世紀初頭でした。当時ポルトガルはフランスのナポレオン軍による攻撃を受け、最後の王朝だったブラガンサ王朝は、リスボンが陥落する直前に植民地だったブラジルへ逃げました。それに伴い、ポルトガルの演奏家たちの多くもブラジルへと渡りました。彼らは、ギターやフルートを始めとするヨーロッパの最新の楽器そしてヨーロッパの音楽をブラジルへともたらしました。リズム楽器、ハーモニー楽器、リード楽器として用いることができるギターは、ブラジルではポルトガル人だけではなく、先住民のインディオや奴隷としてアフリカから連れて来られた人々、ポルトガル人以外のヨーロッパからの移民たちによっても愛されました。そして19世紀には、モディーニャ、ルンドゥ、ショーロなど、20世紀になるとサンバ、そしてボサノバを生み出しました。20世紀のクラシック音楽の作曲家エイトル・ヴィラ=ロボスもギターのための作品を残しています。
ブラジル人はギターを持って生まれてくるとの諺もあるそうで、伝統音楽、ポピュラー音楽、クラシック音楽が渾然一体となっているのがブラジルのギター音楽の特徴です。
Sergio and Odair Assad「Alma Brasileira(ブラジルの魂)」
兄弟のギターデュオ:セルジオ & オダイール・アサドの演奏でヴィラ=ロボスの曲。この曲は元々はピアノ曲ですが、アサドにより2台のギター用にアレンジされています。
Yamandu Costa「Sarará」
現代ブラジル・ギター界を代表するヤマンドゥ・コスタとベテラン・ギタリスト:トッキーニョのライブアルバム『Bachianinha: Toquinho e Yamandu Costa (Live at Rio Montreux Jazz Festival)』より。
ヤマンドゥはウルグアイやアルゼンチンに近い、ブラジル南部の出身。ブラジル南部はガウーショと呼ばれるカウボーイ文化圏であり、その文化は音楽面にも多く取り入れられています。さらにヤマンドゥは、通常の6弦ではなく、7弦ギターを弾いています。