【目次】
シリーズJAZZジャイアンツ 54. ジョン・ゾーン
今月のシリーズJAZZジャイアンツは、9月2日に70歳となったニューヨーク出身のサックス奏者で作編曲家、インプロヴァイザー、音楽プロデューサーなど多彩な音楽家で大友さんが尊敬するジョン・ゾーンの特集でした。ジョン・ゾーンは、ジャズというだけではとても捉えきれない存在で、現代音楽の世界、前衛音楽の世界、即興音楽の世界、クラシックの世界、ジャズの世界、それぞれで非常に優れた活躍をしている方だそうです。日本では取り上げにくい感じがあるそうですが、アメリカやヨーロッパでは絶大な影響力と人気を誇っているそうです。ジョン・ゾーンは80年代後半日本に住んでいたこともあるそうです。
ジョン・ゾーンは1953年9月2日ニューヨークで生まれています。現存する音楽家の中で最もアルバムのリリース数が多いそうです。
John Zorn「Ne'eman」
今年リリースされたばかりのアルバム『New Masada Quartet, Volume Two』より。メンバーは、ジュリアン・ラージのギター、ホルヘ・ローダーのベース、ケニー・ウォルセンのドラムス、ジョン・ゾーンのアルトサックス。ジョン・ゾーンはニューヨークのユダヤ系の家庭に生まれていて、マサダはヘブライ語の要塞という意味だそうです。ユダヤ系の音楽とジャズをミックスした曲。
Sonny Clark Memorial Quartet「Nicely」
ジョン・ゾーンは1980年代に日本とニューヨークを行ったり来たりしていました。日本に最初に来た頃、大友さんはジョン・ゾーンのことをアヴァンギャルドな即興演奏家という認識だったそうです。よくライブも観に行ったそうです。ジョン・ゾーン本人から「こんなアルバム出したんだよ」ともらったアルバムが1985年録音の『Voodoo』だそうです。このアルバムは、ピアニストのソニー・クラークの作品集で、ソニー・クラーク・メモリアル・カルテットという名義で吹き込んでいます。
大友さんは、このアルバムを聴いて衝撃を受けたそうです。当時のジョン・ゾーンが日本で行っていたライブは、即興とアヴァンギャルドの極みだったそうです。なので、このアルバムを聴いて「ジョン・ゾーンは、こんな風にジャズを演奏するんだ」という驚きと「いい演奏だな」という驚きがあったそうです。
ジョン・ゾーンは、1984年から1990年くらいまで高円寺にアパートを持っていて、ニューヨークと東京を行ったり来たりします。日本語もベラベラだそうです。大友さんは、その徒歩圏内に住んでいたそうで、ジョンが大友さんのアパートに来たこともあるし、大友さんがジョンのアパートに行ったこともあるそうです。ジョン・ゾーンのアパートには日本の歌謡曲のシングル盤が沢山あったそうです。歌謡曲の部分部分を「ここいいよね」と言っていたそうで、大友さんはその聴き方に衝撃を受けたそうです。あと、当時の大友さんは、アヴァンギャルド少年で、歌謡曲を好きと言っちゃいけない雰囲気があったので、ジョン・ゾーンが明け透けに歌謡曲を聴いている姿にビックリしたそうです。そんなに自由でいいの?と。
John Zorn「Behold the Night of Our Solemnities」
ジョン・ゾーンの今年9月にリリースされたばかりのアルバム『Full Fathom Five』より。メンバーは、ジュリアン・ラージのギター、ブライアン・マルセラのピアノ、チェス・スミスのドラムスとパーカッション、ホルヘ・ローダーのベース。ジョン・ゾーンは作曲で演奏はしていないそうです。シェイクスピア作品に出てくる「夜」をイメージしたノクターン集。