シリーズJAZZジャイアンツ(41) アート・ペッパー
今回はアルトサックス奏者のアート・ペッパーの特集でした。1925年9月1日カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で生まれました。幼少期は家庭環境にはあまり恵まれず、お婆さんに育てられました。孤独な少年時代を過ごしています。9歳でクラリネットを習い始め、12歳でアルトサックスを吹くようになり才能を開花させ、高校時代から地元のダンスクラブなど演奏を始めます。17歳でレスター・ヤングやスタン・ケントンなどの楽団に入ります。ところが、時は第二次世界大戦で1944年召集令状を受け兵役に行きます。軍隊が合わず、ここから酒や薬にハマっていくそうです。
軍隊から戻り1951年までスタン・ケントン楽団で活躍し、1952年には初リーダー作『Surf Ride』を録音します。しかし、麻薬の習慣はエスカレートしていき、1953年逮捕されてしまいます。服役が終わり1956年8月復帰第1作『The Return Of Art Pepper』を録音します。
Art Pepper、Ben Tucker「Blues In」
1956年は精力的にアルバムを出されており、セッションもされています。アルバム『Modern Art』より、ベースのベン・タッカーとのデュオ。
Art Pepper - Chet Baker Sextet「Minor Yours」
1956年7月チェット・ベイカーとのセッション。
Art Pepper「Imagination」
1957年マイルス・デイヴィスのリズム隊と一緒に録音したアルバム『Meets the Rhythm Section』より。レッド・ガーランドのピアノ、ポール・チェンバースのベース、フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムス。
Marty Paich、Art Pepper「Violets For Your Furs」
1959年7月ハリウッドで録音されたマーティ・ペイチがアレンジ、指揮のリーダー作より。
この後60年代に入るとアート・ペッパーは何度も麻薬で逮捕されます。1969年にはカリフォルニアの麻薬更生施設シナノン療養所に入所、療養所で出会ったローリーという3番目の妻の介助で1974年にカムバックするまでのおよそ15年間は音楽の舞台から遠ざかります。
Art Pepper「Lost Life」
1975年8月に録音された復帰作『Living Legend』より。この曲は10年以上も刑務所で過ごした時期にもう二度と社会復帰できないという思いで書いた曲だそうです。本人もこの曲がレコーディングできる日が来るとは思っていなかったそうです。
Art Pepper「Mambo Koyama」
1978年録音のアルバム『Today』より。この番組の前任者:児山紀芳さんに捧げられた曲。児山さんはアートが表舞台から離れていた時期にシナノンの療養所を訪れ、取材をして、アートにもう一回カムバックしてくれと強く強く頼み込んだそうです。アートは児山さんに感謝して晩年この曲をよく演奏していたそうです。
※このアルバムはApple Music、Spotifyには見つかりませんでした。
Art Pepper and George Cables「Goin'Home」
アート・ペッパーは、1982年6月15日に56歳で亡くなります。1982年5月にピアニストのジョージ・ケイブルスとデュオで録音したアルバムが遺作となりました。この曲はアルバム1曲目でアートの葬儀で流れたそうです。クラリネットで演奏されています。
※このアルバムはApple Music、Spotifyには見つかりませんでした。