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#25 インタビュー:テリ・リン・キャリントン
今回のゲストはジャズ界に変革をもたらせてきた女性アーティスト、ドラマー、作曲家、プロデューサー、教育者でもあるテリ・リン・キャリントンさんでした。1965年生まれの58歳。
Terri Lyne Carrington「Money Jungle」
2013年のアルバム『Money Jungle: Provocative in Blue』より。このアルバムはグラミー賞で女性アーティスト初の最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞したそうです。このアルバムは1963年に発表されたデューク・エリントン、チャールズ・ミンガス、マックス・ローチによるトリオ作品『Money Jungle』をオマージュしたアルバムになっています。資本主義へのアンチテーゼを表したという元の作品の楽曲に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニやオバマ大統領らのスピーチを加えるなど、とてもチャレンジングな作りになっています。
テリ・リンさんは、ハービー・ハンコック、ダイアン・リースなど名だたるミュージシャンと共演してきました。メンターとして大きい影響を受けたのは、18歳の時に出会ったジャック・ディジョネットと21歳の時に出会ったウェイン・ショーターだそうです。
Wayne Shorter「Drummers Song」
テリ・リンさんとウェイン・ショーターとの共演。2017年9月のデトロイト・ジャズ・フェスティバルでのパフォーマンスを録音したアルバム『Live At The Detroit Jazz Festival』より。
テリ・リンさんはジャズ界のジェンダーの平等に向けて様々なことに取り組まれています。2018年には母校バークリー音楽大学の「Berklee Institute of Jazz and Gender Justice」を立ち上げ芸術監督に就任されました。
Terri Lyne Carrington「Respected Destroyer」
テリ・リンさんは2022年に女性作曲家の楽曲で構成されるメロディー譜面集を出版されました。挾間さんも「Under the Same Moon」を選んでもらい譜面集の中に入れてもらったそうです。この譜面集から11曲の演奏を収録したアルバム『New Standards Vol. 1』より。このアルバムは、2023年のグラミー賞で最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞したそうです。
Terri Lyne Carrington and Social Science「Pray the Gay Away」
テリ・リンさんご自身のバンドの2019年のアルバム『Waiting Game』より。アルバムのコンセプトは、様々な社会問題を取り上げたい、特に若い世代が一生懸命訴えかけている社会運動を表現したいということです。警察の黒人への暴力、アメリカの刑務所の問題、ネイティブ・アメリカンの方々の大変な経験、ジェンダーなどをテーマにした楽曲を収録したそうです。この曲はLGBTQの人達を応援したいという楽曲だそうで、あるゴスペル・アーティストで牧師の方がゲイ・コミュニティの人達に対して酷い事を言っているビデオを見てショックを受けたことがきっかけで作ったということです。
週間プレイリスト
2月5日から11日までのブログに掲載した曲のプレイリストです。