【目次】
ゲスト:佐野元春
今回のゲストもデビュー45周年イヤーを迎えた佐野元春さん。最新アルバム『HAYABUSA JET Ι』が紹介されました。
佐野元春『HAYABUSA JET Ι』
つまらない大人にはなりたくない
先行シングルの1曲。「ガラスのジェネレーション」を改題。
佐野元春さんは以下のように語ってくれました。
僕がデビューしたのは1980年、デビュー曲は「アンジェリーナ」という曲でこの「ガラスのジェネレーション」は2枚目のシングルでした。
僕は全く無名なんですけれども、「アンジェリーナ」「ガラスのジェネレーション」をリリースしたあたりから都市部の新しい世代が「面白いじゃないか!」ということで聴き始めてくれたんですね。と言ってもレコード自体はチャートのトップ10に入るという動きはまだ無かったです。でもライブを演りながら僕の音楽の聴き手が増えてるなぁという実感はありました。その時に新しい世代、ティーンエイジャー達が「ガラスのジェネレーション」という曲をものすごくプッシュしてくれたんですね。それ位この曲は初期の僕のキャリアにおいて強いものを持っていました。
ですのでコヨーテ・バンド結成してからなかなかこの曲をライブで演奏するという気になれなかったんですね。バンドも「ガラスのジェネレーション」ついてはハートランド演奏をかなりリスペクトしていましたから、かなり完成されたポップ曲としてイメージがあったんですね。そのイメージを外して新しい形にしようというのは僕自身もとっても挑戦がそこにあったし、しかしプリプロ持っていって「こんな感じで演るよ」と言ったら、すぐコヨーテ・バンドはそのアイディアをキャッチアップしてくれて、ご機嫌なテイクになりました。
発表した当初は若い世代の壊れやすい気持ちを「ガラス」に例えたり、「ジェネレーション」という言葉は当初はあまり使われていなかったのですが、この曲が知られるようになって多くの作詞家が「このワードはいけるぜ!」ということで使われ始めました。本来僕がアピールしたかった意味合いが希薄になってきちゃったなぁという状況はあったんですね。今回再定義するにあたって、この楽曲の一番の核となるのはなんだ?と自問自答したら「ガラスのジェネレーション」というワードではなく、曲の最後のフレーズ「つまらない大人にはなりたくない」これを真正面から背負えていいじゃないかという気持ちになりました。
街の少年
「ダウンタウン・ボーイ」を改題。アルバムのブックレットに付いている歌詞は歌っている通りは書いていないそうです。佐野元春さんは以下のように語ってくれました。
一つの文化としてねアルバムの中に歌詞カードが入ったブックレットが付いてますよね。そこに大抵歌詞が書いてある。歌っているのと同じ歌詞がそこに表記されている。
僕はそのスタイルというかな文化を再定義してみたい。歌っているのは英語が含まれているけれども、日本語で詞を読んでもらう時には縦書きの詞で読んでもらう、英語で歌っているものは日本語で開いてもらう。ブックレットそれだけで楽しんでもらえるような工夫をしました。古くからのファンに、英語のフレーズをどういう気持ちで歌っているのかを噛み締めて楽しんでもらいたいです。
欲望
原曲は90年代のアルバム『The Circle』に収録されており、今回はキーが1音上がっていてボーカルは1オクターブ下がっているそうです。これついて佐野元春さんは以下のように語ってくれました。
オリジナルは95年でしたか。僕もあの当時30何歳かで、まだ経験もそれ程ない男でした。その男が表現する「欲望」があの時。かなり切羽詰まった感じ。それから何十年か経って今「欲望」という曲を今の自分が表現するとしたらボーカル表現はナイス&クワイエットですよね。あの時の経験のない男を歌っていたからパツン、パツンの感じだったけれども、今は「どっからでもかかってこいよ!」という感じですね。