番組冒頭では坂本龍一さんが亡くなったことに触れられていました。年末年始から恐らくそんなに長くはないだろうなと覚悟はされていたそうですが、それでも訃報を聞いた時はガックリきたそうです。バラカンさんは坂本さんと個人的に関係が深い時期もあったということで、追悼特集では色んなお話が聞けるかもしれません。坂本龍一さんのご冥福をお祈り致します。
今回は、ボブ・ディランの1997年のアルバム『Time Out of Mind』の制作風景が分かる『Fragments - The Bootleg Series Vol. 17』が紹介されました。
ボブ・ディランがアルバム『Time Out of Mind』を作ったきっかけは、ジェリー・ガルシアが1995年8月9日に亡くなったことによる喪失感がきっかけだそうです。
ジェリー・ガルシアはボブ・ディランのことが大好きでよくディランの曲を歌っていました。そして彼が歌うディランの曲をディラン本人がすごく好きだったそうです。
ボブ・ディランがジェリー・ガルシアのことをどれほど思っていたか、亡くなった時のボブ・ディランの言葉をバラカンさんが訳してくれました。
人としても、ミュージシャンとしても、彼の偉大さや、重要さは、計りようがない。
どんな弔辞を述べても、物足りない。
彼は、それほど偉大だった。
不思議なほど鋭い耳や楽器の優れたテクニック以上に、彼は泥水のようなカントリーたるものの核心、それが宇宙に広がっていくような、そのスピリットを具現化したような存在だ。
私にとって、彼はミュージシャンで、友人であるだけでなく、兄のような存在で、彼が知る由もないほど、多くのことを教えてくれた。
カーター・ファミリーからバディ・ホリー、そして例えばオーネット・コールマンの間には大きな開きと前進があるけれど、彼は何派に属することもなく、その全ての空間を埋めた。
彼の演奏は気まぐれで、凄みがあって、洗練されていて、催眠効果があって、ニュアンスに富んでいた。
彼がいなくなった喪失感は、伝えようがない。
それだけ、深いのだ。
Grateful Dead「Black Muddy River」
ジェリー・ガルシアが80年代の糖尿病の発作で死にそうになって、奇跡的に復帰した時のアルバム『In the Dark』収録曲。ボブ・ディランの「泥水のようなカントリーたるもの」という表現は、もしかしたらこの曲のことが頭にあったのではないかというバラカンさんの想像です。
Bob Dylan『Fragments - The Bootleg Series Vol. 17』
このアルバムではオリジナル・アルバムの『Time Out of Mind』の音そのものの収録はなく、オリジナルをリミックスしたものが収録されています。プロデューサーのダニエル・ラノワが加えた特殊効果などは削ぎ落として、ボブ・ディランが元々想像していた音に近づけたものになっているそうです。3曲、リミックス・バージョンと途中のバージョンで聴き比べされました。
Love Sick (2022 Remix)
Love Sick (Version 1)
Tryin' to Get to Heaven (2022 Remix)
Tryin' to Get to Heaven (Version 2)
Not Dark Yet (2022 Remix)
Not Dark Yet (Version 1)