ラジオと音楽

ラジオから知った音楽のこと書いていきます

ワールドロックナウ 2021年5月15日(ダイナソーJr.、ジョン・レノン、ビリー・アイリッシュ)

  

新譜紹介

 

Dinosaur Jr.『Sweep It Into Space』

ダイナソーJr.の5年ぶり12枚目の新作。J・マスキスとカート・ヴァイルの共同プロデュース。

SWEEP IT INTO SPACE

SWEEP IT INTO SPACE

  • アーティスト:DINOSAUR JR.
  • 発売日: 2021/04/23
  • メディア: CD
 

 

 

I Ran Away



 

Hide Another Round



 

To Be Waiting



 

 

John Lennon『ジョンの魂(アルティメイト・コレクション)』

 『ジョンの魂』リリース50周年記念アルティメイト・コレクション。

 

渋谷さんのコメント

50年前自分がこのアルバムをどれだけ聴いたかというのは今だに生々しく体の中に残っているんですけれども。それでも50年の時間を飛び越して、すごくこの作品というのは自分の中にもういっぺん大きなショックというか心を揺らす何かがあってですね、どう紹介していいのか分かんなくなっちゃってですね。困っちゃいまして。

50年前僕は20歳だったわけですけれども、このアルバムを聴いたことによって、僕はポップミュージックの聴き方も感じ方も、既に僕はその頃から原稿を書いていたんですけども、音楽評論家という仕事のあり方みたいなもの、その全てを根底から、何と言うか、変えたというか、揺るがしたというか、そういう作品だったんですね。

50年の時間が経って、またそのアウトテイクを聴くと、また同じようなショックが自分の中にあって、それはすごく感動的なものであったし、なんと言えばいいのかな、ショックという言葉がいいのか分かんないんですけど。

僕もう70歳ですからね、ひょっとすると、80歳の時も90歳の時も、生きてるかどうか分かんないですけど、そういった形でこの作品って自分の中に突き刺さるんだなぁと。

自分と音楽の関わりみたいなものに、もういっぺん向き合うことになった。

自分の中でこのアルバムを何千回聴いたか分からないですが、アウトテイクを聴くと今まで自分が聴いたことがないちょっとしたメロディの違いやアレンジの違い、それだけですごく動揺して、ものすごく生々しい、この作品が今作られているような、これ聴いていいんだろうか俺?ってみたいな、そんな感想を持ちました。

 

 

 

Mother (Take 61 / Out-take / Ultimate Mix)

(渋谷さんの解説)

アルバムの1曲目の超有名曲です。ビートルズっていうのは神様みたいなもので、本当にこの世に存在するのかどうなのかよく分からないスーパー抽象的な存在のアーティストがソロになって自分の母親を歌う。ジョン・レノンにとって母親っていうのは、最大の心の傷だし、最大の彼を成り立たせているプラスでありマイナスである存在。それに対して何のごまかしもない、ものすごくストレートな言葉で歌う。それが1曲目に出てきた時の衝撃。凄かったです。

Take61と書いてあるから、まさに61回、あるいはもっともっとテイクがあるわけで、その一つ一つがこんな血を吐くようなボーカルであるという。そして僕らが聴いたMotherと同じようであり、違っている、その生々しさ。このアルバムを同時代に聴いた人間にとってはすごく色んなことを思わせる作品であります。

 

(訳詞)

母さん、僕はあなたのものだった

でもあなたは一度も僕のものじゃなかった

僕はあなたを欲しがったのに、あなたは僕を欲しがらなかった

だからもうこう言うしかないんだ

さようなら

さようなら

父さん、あなたは僕を捨てた

でも僕は一度もあなたを捨てなかった

僕にはあなたが必要だったけれども

あなたには僕が必要じゃなかったんだ

だからもうこう言うしかないんだ

さようなら

さようなら

子供たち、どうか僕の二の舞にはならないでくれ

僕は歩けなかったのに、走ろうとしてしまった

だからもうこう言うしかないんだ

さようなら

さようなら

ママ行かないで、パパ帰ってきて

ママ行かないで、パパ帰ってきて

ママ行かないで、パパ帰ってきて

 

 

Working Class Hero (Take 1 / Out-take / Ultimate Mix)

(訳詞)

生まれた途端、連中はお前を卑屈にさせる

何もくれずに、時間だけ奪い

ついには痛みがデカくなりすぎて

何にも感じられなくなる

労働階級の英雄になるのは生半可なことじゃない

労働階級の英雄になるのは生半可なことではない

連中はこっちを20年とちょっと、散々痛ぶり怖がらせた挙句

仕事を選べと言ってくる

こっちは恐怖でいっぱいで、使い物にはならないのに

労働階級の英雄になるのは生半可なことじゃない

労働階級の英雄になるのは生半可なことではない

天辺には空きがある

連中は相変わらずそう言っている

でも、最初に覚えなきゃならないのは、殺しながら笑うことだ

丘の上の連中みたいになるなら、労働階級の英雄になるのは生半可なことじゃない

そうさ、労働階級の英雄になるのは生半可なことじゃない

もしも、お前も英雄になりたいなら、黙って俺に着いて来い

英雄になりたいなら、黙って俺に着いて来い



 

Isolation (Take 23 / Out-take / Ultimate Mix)

(渋谷さんの解説)

僕らがこの『ジョンの魂』という作品を最初に聴いた時の衝撃は、全ての世の中の成功と名声とありとあらゆるものを手にしたジョン・レノンという人が本当に自分の弱さと孤独と不安と、あまりにもあからさまに、ストレートに、分かりやすく歌っているということでした。そのうちそれが、もの凄い強さだということに我々は気づくのですが、最初この曲を聴いた時の驚きというのは凄いものでありました。

 

(訳詞)

皆は僕らが成功したと言うけれども

わからないのかなぁ?

僕らが怖がっているのが

孤独

僕らは一人になるのが怖い

誰もが家を欲しがっている

孤独

ただ男の子と女の子が世界を丸ごと変えようとしている

孤独

世界はただの小さな町

皆が僕らを凹ませようとしている

孤独

君にわかってもらえるとは思わない

あんなにも多くの苦しみを招いた君に

でも、やっぱり、悪いのは君じゃない

君もただの人間

狂気の犠牲者なんだ

僕らは皆を恐れ、太陽を恐れている

孤独

太陽は決して消えない

でも、世界にはあまりにも年月が残されていないのかも

孤独



 

God (Take 27 / Out-take / Ultimate Mix)

(渋谷さん解説)

「I don't believe in(僕は何も信じない)」と続くところで「I don't believe in Beatles」と言います。今その言葉を聞いても当時どれだけ衝撃的であったか分からないと思いますが、ビートルズが解散し、極端に言えばビートルズによって我々生かされていたという時代であったわけですが、それを否定してしまう。本人が。

 

(訳詞)

神は僕らが作り出した痛みを測るために作り出した概念だ

もう一度言おう

神は僕らが作り出した痛みを測るために作り出した概念だ

僕は魔法を信じない

僕は聖書を信じない

僕はイエスを信じない

僕はブッダを信じない

僕はヨガを信じない

僕はエルヴィスを信じない

僕はジマーマンを信じない

僕はビートルズを信じない

僕は僕だけを信じる

ヨーコと僕を

そう、それが現実なんだ

夢は終わった

僕に何が言える?

夢は終わったんだ

昨日

僕は夢売り人だった

でも、もう生まれ変わった

僕はセイウチだった

でも今はジョンだ

だから愛する友よ

君たちはやっていくしかない

夢は終わったんだ



 

今回のこの『ジョンの魂』の渋谷さんの解説にすごく感動して、番組へメッセージ送らせて頂きました。

 

 

 

海外情報(NY情報)

 

Billie Eilish『Happier Than Ever』

ビリー・アイリッシュの新作。コロナだったから作ったそうで、作る予定ではなかったので、締め切りもなく、束縛もなく、すごくいい形で作れたそうです。

Happier Than Ever [Clean]

Happier Than Ever [Clean]

  • 発売日: 2021/07/30
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

Your Power

最新シングル。アコギだけのシンプルなサウンド。「力を乱用しようとするのはやめて。あなたはヒーローだって彼女に言ったけれども、一年のうちに彼女を傷つけてしまった。」と歌っているそうです。自分たちが若いから、女性だから、弱い立場だからということで利用されないで、それを自分の力にして頑張っていこうというメッセージが掲げられているそうです。