シリーズJAZZジャイアンツ(15)ウエス・モンゴメリー
今回はギタリスト:Wes Montgomery(ウエス・モンゴメリー)の特集。1923年3月6日インディアナポリスで生まれたと言われていますが、本人の公式ホームページには1925年生まれと書いてあったり、その公式ホームページで違う説があったりしているそうです。1968年6月15日に45歳で亡くなっています。ウエス・モンゴメリーはモンゴメリー家の三男。長男のトーマス・ジュニアはドラマーですが18歳で亡くなっています。次男のウィリアム(モンク。モンゴメリー)はベーシスト。弟のチャールズ(バディ・モンゴメリー)はピアニスト。兄弟みんなジャズ・ミュージシャンです。
ウエスは子供の頃お兄さんに4弦ギターを買ってもらったのがギターを始めるきっかけで、10代でチャーリー・クリスチャンに憧れて6弦のギターがいいと思いエレクトリック・ギターを買ったのがウエスが音楽を本格的にやりだすきっかけです。
オクターブ奏法、ピックを使わずに親指で弾く、という話が有名ですが、技術的な話ではなくジャズの中でどんな特徴を残し、功績を残し、どんな素晴らしい録音を残したのか大友さんが解説してくれました。
Wes Montgomery Trio「Missile Blues」
1959年9月ウエスはツアーでインディアナポリスを訪れていたアルトサックス奏者キャノンボール・アダレイの目にとまり、ニューヨークでリードアルバム『The Wes Montgomery Trio』の録音のチャンスを得ます。
この曲名は当時ウエスがインディアナポリスで毎晩演奏していた「ミサイル・ルーム」というバーの名前に因んでいるそうです。
このアルバムは昨年11月2日の放送で大友さんと同い年の「1959年生まれのジャズ」特集で「'Round Midnight」がかかりました。
Wes Montgomery「Four On Six」
1960年1月に録音されたセカンド・リードアルバム『The Incredible Jazz Guitar Of Wes Montgomery』に収録されているウエスの代表曲。このアルバムのリリースでウエスは絶大な評価を受け、世界的に名を轟かせます。
Wes Montgomery「Full House」
1962年6月25日に行われたライブ録音の名盤『Full House』。ドラムは先日5月24日に亡くなったジミー・コブ。カルフォルニアのバークレイにある「Tsubo」という名前のコーヒーハウスでの演奏だそうです。ここのお店はすごく録音環境が良かったそうで、ウエスのライブを知ったオーディエンスは開始時間のかなり前から会場に押しかけ、入りきらないファンの列がクラブの外にも溢れかえっていて外で聴いていた人もいたそうです。このアルバムのタイトル『Full House』は「超満員」の様子からとったそうです。ウエスはすごい人気だったんですね。
Wes Montgomery「I've Grown Accustomed To Her Face」
Wes Montgomery「A Day in The Life」
1967年に発売されたアルバム『A Day in the Life』。前衛的なアレンジですごくいいです。ピアノ:ハービー・ハンコック、ベース:ロン・カーター。このアルバムは大ヒットして、家族を大切にしているウエスの暮らしも豊かになったそうです。
Wes Montgomery「Serene」
ウエス・モンゴメリーは、メロディを弾いてアドリブとったら何でもすごいギタリスト。マイルスやコルトレーンが次々斬新なスタイル作っていくのとは違って、地元のインディアナポリスにずっと居を構えて、愛する家族と一緒に暮らして自分の音楽を演るスタイル。当時のジャズメンとはずいぶん違うように映りますが、レコードでは評価されていないアメリカの地方都市にはウエスのようなミュージシャンがいっぱいいたのかもしれません。ウエス・モンゴメリーは非常に個性的で優れた演奏をしたので突出して評価されて、売れるようなアルバムにも起用されるようになりました。このようなチャンスがなかったら、地元のクラブでずっと凄い演奏をし続けた人なのかもしれません。
ウエス・モンゴメリーの遺作『Road Song』から「Serene(セレーヌのために)」。
Serene(セレーヌ)は奥さんの名前。ウエスが亡くなった後、ウエス・モンゴメリーの名前を冠した基金を作ってアフロ・アメリカンの人たちの学校進学の奨学金の制度を作ったそうです。
最後の録音は1968年5月7日から3日間かけて行われ、「Serene(セレーヌのために)は最終日の5月9日最後のスタジオ録音だそうです。この日はこの一曲だけが録音されたそうです。この日から1ヶ月後の6月15日にウエスは地元のインディアナポリスで心臓麻痺で急死してしまったそうです。