ゲスト:佐野元春さん
佐野元春さんのニューアルバム「或る秋の日」の特集。
このアルバムとてもいいです。聴いてて疲れない、心地よいです。
このアルバムはバンド・サウンドよりもご自身のシンガー・ソング・ライターの側面をまとめたアルバムだそうです。
佐野さんがソング・ライティングを始めたのが10代半ば。その頃手本にしていたのが、ボブ・ディラン、トム・ウェイツ、ランディ・ニューマン。特にトム・ウェイツ、ランディ・ニューマンの曲は、1曲1曲に深いストーリー、物語があり、3分間4分間でもこんなに豊かなストーリーが歌えるんだなぁということで感銘を受けたそうです。
どうにかそういう世界観を日本語でできないかという思いが当時からあったそうです。
欧米では自分のことを歌うのではなく、ストーリー・テリングと言って、主人公を作ってストーリーを作っているそうです。ディランもトム・ウェイツもランディ・ニューマンも一級のストーリー・テラーだそうです。
今回の楽曲も主人公を添えて、映画で言うとキャスティングをして、舞台を作って、そこで彼もしくは彼女がどういうことを思ったり、感じたりしたりするのかをまとめているそうです。
永遠の迷宮
ちょっと捻ったコード進行。主にsus4の響きを中心にモード的に展開していく曲ということです。佐野さんは先に詞を作るそうで、詞が持つ情感をより強調したり、寄り添ったりする演奏と編曲とミックスを発想しているそうです。
萩原さんの感想「佐野さんの音楽をずっと長い間聴いていると、佐野さんの作った言葉として、つまらない大人になりたくないという大きなテーマがあったと思いますが、今回のアルバムは大人になってみたらどうだったんだみたいなところがすごくたくさんある。すごく印象的に語られているのは、子供の時は全てが無敵な感じがしたんだけど、大人になってみると色んなものがどれだけ儚いかみたいなことが分かってきた。というところが貫かれているところがあると思います。」
佐野さん「ポップソングというと、大抵傷ついた子供達が主人公なんだけど、傷ついてるのは子供だけじゃないぜ!大人たちも傷ついてるんだよ!ということをポップ・ミュージックで表現したかった。」
今回のアルバムは成熟した年代への曲で占めているそうです。だから僕も「いいなぁ」と思ったんですね。ありがとう佐野さん!大切に聴かせてもらいます!
人間の感情というのは、とっても複雑な作りをしていて、喜びの裏に悲しみが張り付いていたり、寂しさの裏にまた別の感情が張り付いていたりして、なかなか言葉とかで言い表せないことが多い。でもメロディーやリズムを使うと、そうした人間の複雑な感情が意外と多面的に表現できる。そこを僕は信じている。
詞を評価してくれる人もいるんだけど、僕がやっているのは、言葉とリズムとハーモニーを一体化させるというところに時間を費やしているので、全体の情感で感じてくれたらいいなぁと思います。
曲の1番2番3番でフレーズが違ったり、所々メロディー変えたり、コード進行変えたりしているそうです。これは言葉を大切にしているからだそうです。バンドは迷惑がっているそうですが・・
いつもの空
主人公は突っ張っているんだか、寂しがっているんだか分からない曲ということです。
歌詞で「台所」と出てくるのも珍しいですが、イメージが抽象的になりすぎないように、聴き手の人たちが映像化できるようなライティングをしているそうです。
私は情景浮かぶ詞好きなんですよねぇ〜これも私のお気に入り要素の一つだったんですね。気づかせてもらいました。
佐野さん来年でデビュー40周年だそうです。
いやぁ〜高校の近くの貸レコード屋で借りて聴いてから40年ですか・・
今でも曲がどんどん出来ているそうで、40周年に向けてレコーディングもされてるそうです。 今度は、どんなアルバムをリリースしてくれるのか楽しみです。
「傷ついてるのは子供だけじゃねぇぞ、大人だって傷ついてるんだぞ! 」ということです。40代50代の大人の人こそ、このような厳しい時代では良いポップ音楽が必要だと思います。
或る秋の日
このアルバムはリリースされてすぐに聴いて気に入っていましたが、この番組で解説を聞いてますます好きになりました。これがラジオのいいところ。
萩原さんのように引き出してくれるDJがいてくれるお陰で、ミュージシャンの考えていることがリスナーの我々に理解しやすくなります。親近感も湧きます。
来週のゲストは、鮎川誠さんだそうです。これまた楽しみ。